実るほど・・・

人間誰しも、いつまでも若く第一線では働けません。
そんな時、自分のことをきちんと認識して
後輩のために道を譲ることができるでしょうか?

* * *

外科で働いていたとき
中途採用で、50歳代後半のMさんが配属されてきました。

Mさんくらいの年齢の方が中途で
外科病棟に配属されてくるのは初めて!!
当初はみんな、大変失礼ながら
「働けるのかな?」
「外科って結構キツイよね」
「なんで今更外科なの~?」
などと、大変勝手な色眼鏡で見ていました。

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プリセプターに選ばれたのは
当時20歳代後半だったワタクシ・・・(汗)

正直な話、そのときは
「げぇ!なんで私がそんな厄介な役割を!!!」
と思っていました。
(自分より年上の方のプリセプターなんて
やったことがなかったし、すごい年齢差や
まわりの人の言うことに同調してしまっていたからです)

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Mさんの動きは、当時若かった自分から見れば
ゆっくりで、機敏とはいえませんでした。
入院・退院やらオペ出し・オペ帰りがバンバンいるような
忙しい状態では、間に合わないのではないかと
イライラしてしまうこともありました。

「やっぱり動けないよね~。仕事遅いし」

周りのスタッフからの評価もそんな感じ。
私もそれに対して「そうだそうだ」と思っていました。

* * *

でもある時、フッと気づきました。
Mさんがいるとチーム全体の仕事がはやく終わる?

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Mさんをよく見ると
患者さんの汚れ物を片付けていたり、
清拭のタオルやバケツを片付けていたり、
水枕を片付けていたり、レントゲンを片付けていたり、
術後のベッドサイドで不要になったものを片付けていたり、
ナースステーションでバラバラになったレントゲンを
袋に順番通りにいれて片付けていたり、
とにかく片付けている場面が多い!

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もちろん自分の受け持ち患者さんのこともやっています。
オペ出しの時間ギリギリになっていて
こちらとしては間に合うのかとハラハラしていても
間に合わなかったことは一度もない・・・。

見た目として早くはないけれど、必ず間に合う。
目立つような仕事はないけれど、着実かつ堅実。
他のスタッフの手が回らない片付けも気がついてこなす。

Mさんはゆっくりに見えるけど、遅いんじゃない。
他のスタッフより効率的に、さらに仕事をこなしてる!
むしろ縁の下で支えてくれている土台のような仕事ぶり。
それがあるからこそ若い子がよりスピーディーに働いている。
これに気づいたときは、本当にびっくりしました。

* * *

「Mさん、実はすごい仕事できる人なんですね・・・」
『ええ~?そんなことないわよ。若い人にはかなわないわよ』

能力があっても、それをひけらかさず、驕らず。
自分が自分がと主張せず、一歩さがって目立たず。
自分の力の程度をしっかりと理解していて、
必要な部分は補い、若いスタッフが動きやすい場をつくる。
落ち着いていていつもニッコリ。

〈実るほど頭を垂れる稲穂かな〉

私も年をとったとき、Mさんのような人でありたいと思います。
年齢を重ねれば、体はきっと動きにくくなる。体力も落ちる。
出来なくなる(第一線でなくなる)自分は認めたくないかもしれない。
でも、それをきちんと認識できるような心を持ちたい。
妬みとか嫉妬とか、ついつい愚痴とかいうのではなく、
若い世代ができるようになることを喜べる人になりたい。
経験として蓄積された知恵を活用できる人になりたい。

そうやって若い人たちが活躍できる場を作ることが
結果として患者さんの看護に反映され、
患者さんやそのご家族に還元されていく。

でも・・・
自分にその時がきたら、私はMさんのように振る舞えるでしょうか。
皮肉屋っぽくなっちゃうかな。
批判的なことばかり言っちゃうかな。
それまでに精神力を鍛える必要がありそうです。

Mさん・・・
本当に素晴らしい方に巡り会えたなと思いました。
私がMさんのプリセプターではなく
Mさんが私の看護師の先輩としてのプリセプターですね。

* * *

ちなみにMさんは、遠い遠い県から
お母さまの介護のために引越ししてきたそうです。
遠い遠い県ではICUの師長を長年務め、教育部長も
担当されていだそうです。
(そのことは隠密で就職したそうですよ)

やっぱりすごい人だった!
(プリセプターなんていらない人だった・笑)

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師長さんのこと

師長さんというのは
どういう存在ですか?

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私が勤めていた某所の師長さんは
「山の天気よりも気分の変化が激しい」
といわれる師長さんで、とても怖かった思い出があります。

師長室に呼ばれるときは、たいてい何かやらかした時。
新人の頃は直接的な接点があまりなかったので
ただ単に「怖い人、怒る人、機嫌が悪い人」という
とんでもないイメージしか持てませんでした。

師長室の前を通ると
先輩ナースと師長さんとのやりとりが聞こえきます。
「師長さん!こんな新人ばっかりのシフトじゃ
安全に夜勤がまわせないですよ!無理です!」
そういう先輩ナースに対して師長さんは一喝!
「そんなん、あんたの力量の問題やん!」

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先輩ナースたちは師長さんに文句タラタラ。
「まったくあの師長、無理は言うけど自分は動かないよね」
「ホント、ホント!働けって感じだよね!」

そんな先輩たちの風評を聞いていたせいもあり
『うちの師長さんは、怖いけど働かないダメな人なんだ・・・』
という認識が、私の中で芽生えていました。

* * *

でもある事件をきっかけに
師長さんの凄さを思い知ることになりました。
それは「輸血ミス事件」!

日勤と準夜勤の勤務交代時に
O型の人にA型の血液が輸血されるという
重大なミスが発生しました。

輸血はちょうど滴下されはじめたところだったので
注入された量は幸いにも微々たる量でした。
(患者さんにも最終的にほぼ影響はありませんでした)

でも受け持ちだった同期のUちゃんは大パニック☆
どうしよう!患者さんに説明しなきゃ!
私のせいで患者さんが死んじゃう!病院がつぶれちゃう!
みんなに迷惑がかかっちゃう!私クビかも!等等
いろんな思いが駆けめぐったそうです。
そこへ知らせを聞いた師長さんが現れて、Uちゃんに事情聴取。
さらに知らせを聞いた主治医が飛んできました。

主治医は「○×■★◎△▼●!!!」と激昂。
周りのスタッフ一同も凍りつきました。
Uちゃんは茫然自失な感じでフラフラ。
誰一人として主治医の激昂を止められない・・・
そう思っていた時

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師長さんが主治医に対して
「スタッフのミスは私のミスです。申し訳ございません!」
と謝罪するとともに、主治医に対して、今患者さんに
どのように対応するのがベストなのかを相談しはじめました。
そしてどのように家族にムンテラするのか等話し合い、
主治医の激昂を収めていきました。

Uちゃんに対してはこう言いました。
「どんな状況であろうと、アンタが確認を怠ったことは悪い。
起きてしまったことはナシにはできない。
でも今からできることがいくらでもある。
アンタに今できるベストを尽くしなさい!」

この一連の出来事をみて、私を含めて何人のスタッフが
師長さんのすごさを実感したのかなって思います。
普段はあんまり働いてないようにみえる(笑)けれど
いざとなったら、すごく頼れる人なんだということを実感。
働いてないというのは語弊がありますね。
直接的なベッドサイドケアをしていないから
私たちの目からみると働いていないように見える。

でも実は師長さんは、私たちの知らないところで
私たちには直接見えない仕事をたくさんしています。
そして私たちスタッフを信頼して仕事を任せ
そのスタッフを守ってくれているのです。

この時、上に立つというのはどういうことなのかな?と
未熟な新人ながら私もすごく考えさせられました。
上に立つためには、責任をとるという覚悟がいります。
その覚悟ができる人が、逆にいえば上に立てる人なんですね。
上に立つってすごいことです。

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年齢は重ねたけれど
私はまだまだ怖くて上には立てません。

「力量の伴わない立場ほど、辛いものはないよ。
でもその立場になるからこそ、身につく力がある。
見えてくるもの、できてくるものもある。」
上に立った人たちからの言葉を聞くたびに
自分の小ささや、まだ見えない世界の広さを実感します。

それ以降、師長さんは相変わらずで
案の定、働いていないように見えます(笑)
でも師長さんに対する私の認識は大きく変わりました。

ダメな人じゃないじゃん!
ウチの師長さんって、結構すごい!
自分の師長を見る目のほうがダメだったよな~と。

でも気分変化は、もう少し抑えて欲しかったな~(願)

バッドマン

研修医Yは
とにかくタイミングが悪いヤツです(笑)
とても良い先生なのですが
指示を出すにしても、処置をするにしても
とにかく看護師のお姉様たちとタイミングが合わない!
そんなこんなで、看護師のお姉様たちから
「バッドマン」などと呼ばれる始末です(大笑)
(*BAD間ん=間が悪い人)

夏のある時期
研修医Yは夏風邪に罹り、熱発して2日ほど欠勤しました。
欠勤の後には、3日間の夏休みがありました。
トータル5日間の休みを経て、出勤してきたYを見て
看護師のお姉様たちは大ブーイング!

何故って、研修医Yはすっかり小麦色だったのです(爆笑)

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「ちょっと先生!風邪で休んでたんじゃなかったの?!」
『いや~辛かったっすよ。熱は38度くらいまであがって
2日間、うなってましたよ~。本当にまいりましたね~』
「それでなんで、そんなにツヤツヤしたコゲパン色なのよ!」
『え?風邪が治って、その後、夏休だったんスよ。
だから海に行って、泳いできたからじゃないですかね?』
「先生の患者さん、大変だったんだからね!」
『あ~K(同僚)から聞きましたよ~。
いや~、でも一件落着して良かったなって思って・・・』
「なにが’良かったな’じゃ~~~!!!」
『えええ~~~???』

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研修医Yの患者さんは、Yが休みの間に
治療方針や退院を巡って一悶着あった患者さんでした。
その患者さんの話を聞き、なだめすかして説得し、
たいそう振り回されて大変だった主任さんは鬼の形相!

「おのれY!この怒り、どうしてくれようか!!」
『たまたまです!たまたまですよ!主任!!
欠勤と夏休が、たまたまくっついてただけですよ!
意図的に休んだわけじゃないですよ!落ち着いて主任!』
『そうですよ!主任!
Yがそんな風に頭使って休めるわけないじゃないですかっ!』

なんとか主任の怒りは鎮静化。
しかし、いつまでたってもバッドマンな研修医Y。
これがきっかけで、ますます看護師のお姉様たちから
ヒンシュクを買ってしまったのでした(笑)

「空気読めよな・・・」
同僚や同期の看護師からも
ちょっと冷ややかな目で見られてしまったYでした。

いい人なんだけどな~、残念(笑)

新人の頃の気持ち

私の尊敬する友達Eさんは
年下ながら大変、論理的であり仕事のできるナース。

バリバリの外科ナースのキャリアを持っていて
病棟でも一目置かれる存在です。

そんなEさんですが、昨年度末、
外科を離れて、オペ室への配属希望を出しました。

「実際にどんな手術がされているのかがわかれば
もっと術後の患者さんのこととか
術前の説明とかがちゃんとできるかなと思って」

この向上心、天晴れです。

そんなEさんと先日、お食事をしてきました。
オペ室はどう?と尋ねた時の彼女の一言。

「最悪。人生の中で、はじめて選択を誤った感じですよ」

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外科にいる自分は、何でもできた。
でもオペ室は病棟とは違う空間であり、
自分のキャリアはゼロに等しく、何もできない。
物品も特殊だし、ほとんどのことがわからない。

「この年齢になって、”できないヤツ”とか言われて
怒られるとは思わなかったですよ」

「それでも自分より年齢の高い人に言われるからまだマシ。
年下に言われたら、たぶん耐えられなかったと思う」

「やっぱりどうしてもプライドってあるんですね」

あ~嫌だ、嫌みなヤツもいるし、やってらんない!!
そう言いつつ、Eさんはいろいろなコトを語ってくれました。

「私、新人に対して
”わからないことはわからないって言わなきゃ、
こっちだってわからないんだよ”とか言ってたんです。
今、思えば、すごい酷なことを言ってたんだなと思います」

「だって、”何がわからないの?!”って聞かれても
今、私はわからないことが自分にわからないんですもん」

「”○○をちゃんと観察しなよ!”とか言ってました。
でも○○のどこをちゃんと観察しないといけないのかが
わからなかったりするんですよね。まったく!
こんな気持ち、全然忘れてましたよ」

そして指導の方法についてもいろいろ語ってくれました。

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「角針と丸針の使い分けがわからなくて、よく怒られたんです。
でも先輩にいくら聞いても、ここは角針で、ここからは丸針という
言い方しか、してもらえなかったんですよ。
ある時、先生にすごい怒られたんですけど
”皮膚とか固いモノやしっかりしたものを縫う時は角針!
内臓とか柔らかいものを縫う時は丸針!腹の中は丸だ!バカ!”
って言われて、すごく納得したんです。」

「どう言えば、相手が理解できるかというポイントを
すごく的確に表現してくれたなって思うんです。
やっぱり、できる医者はすごいなって思いましたよ」

「教育ってね、いくら自分がわかっていても
言葉にして相手に伝えることができないと成り立たないと思います。
長年、やってきた人たちは、たくさんの経験値をもっているけれど
それを言葉にするすべを持たないんじゃないかな・・・
だから、言葉で伝えることができないんじゃないかなって」

「私、ちゃんと言葉にして指導できていたかなって
今頃になって、すごく考えてしまいましたよ」

そしてまたEさんは、いつでも辞めてやる~、くそ~!
と言いながら、延々と愚痴を語ってくれました(笑)

Eさんの状況が辛いことは、とてもよくわかりました。
でも、それと同時に、このような状況にあって、
上記のようなことを考えられる彼女の聡明さに
頭が下がるというか、羨ましいというか、恐ろしいというか。
この人、本当に頭が良いんだな・・・と。

『教育って難しいね・・・』

二人でそう語りながら
自分が新人だった頃の気持ちを
思い出そうとしても、思い出し切れない自分に
少しガッカリするとともに、
自分の新人への関わり方を
もう一度、思い返す機会を与えてくれた
Eさんに感謝する夜でした。

- - - - - 余談 - - - - -

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ちまたで「ゲゲゲの女房」が流行っているので
鬼太郎モドキを練習してみました。
こんな感じだったと思います。小学校の時に見たよなぁ・・・。

夜勤のマーチ

森のくまさん方、いかがお過ごしですか?
そろそろ夜勤の時期ではありませんか?
そう夜勤。ある意味、森くまがこの世界で生存できるかどうかの
ターニングポイントとも言えるのではないでしょうか。

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夜勤で頑張る森くまさんたちへの応援ソング完成!
おもちゃのチャチャチャの節でどうぞ!

★ ★ ★

♪バイタル チャチャチャ♪
♪体交 チャチャチャ♪
♪チャチャチャ 夜勤だ チャチャチャ♪

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♪21時に 消灯で♪
♪みんな スヤスヤ 眠るころ♪
♪森くま ライトを 取りだして♪
♪まわる巡視だ チャチャチャ♪

♪点滴 チャチャチャ!♪
♪確認 チャチャチャ!♪
♪今は順調 チャチャチャ!♪

♪不穏のおじさん トテチテタ♪
♪独語 バリバリ こんばんは♪
♪私は 誰で 此処はドコ?♪
♪ベッド抜けだし チャチャチャ♪

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♪おさえて チャチャチャ♪
♪寝かせて チャチャチャ♪
♪焦る森くま チャチャチャ♪

♪昼間みたいな 忙しさ~♪
♪人が少ない 夜だから~♪
♪コールが鳴れば かけつける♪
♪走れ森くま チャチャチャ♪

♪朝まで チャチャチャ♪
♪森くま チャチャチャ♪
♪あと少しだよ チャチャチャ♪

♪空にさよなら お星さま♪
♪窓にお日さま 照らすころ♪
♪採血スピッツ 持ち出して♪
♪患者まわるよ チャチャチャ♪

♪血管 チャチャチャ♪
♪出てこい チャチャチャ♪
♪患者起きだし チャチャチャ♪

♪日勤ナースが やってきた♪
♪戦い終わって (申し)送る頃♪
♪先輩ナースが やってきて♪
♪おつかれ! やったね! チャチャチャ♪

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♪夜勤も チャチャチャ♪
♪乗り越え チャチャチャ♪
♪ひとり立ちだよ チャチャチャ♪

さあ!これで少しでも楽しく夜勤ができるでしょうか?!
自分の初夜勤・・・すごく緊張した覚えがあります。
慣れない夜勤、緊張の連続、思うように進まない業務。
いろいろ大変だとは思いますが、みんな慣れていきます。
できるようになります。余裕だって出てきます。
だから、めげないで、頑張っていただきたいと思います。

森くま、ファイト~★
でも、こんなこともあるから、気をつけて!

♪点滴 落ちちゃった!♪
♪薬 忘れちゃった!♪
♪インシデントだ! チャチャチャ!♪

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N美メール:【こんな歌聞いたら、よけいに辞めるわ~!】

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ご訪問いただき有り難うございます。当ブログはナースyoyocoの日常を綴った”勝手に看護覚え書”です。ほぼ自己満足で出来上がっており、医療に役立つ内容にはなっておりません。日々働く中で考えたこと、感じたこと、そして周りの楽しい仲間達について、私的視点から描いています。興味のある方はどうぞご覧ください。

Attention
画像と文章を無断で使用することはおやめくださいませ。下手なりに一生懸命描いております。

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更新速度停滞注意報発令中!
コメントや拍手をくださる皆様、有り難うございます。仕事の都合上、お返事が遅れてしまう場合が多々ありますが、気長にお待ちいただけると嬉しいです(汗)本当に申し訳ございません。陳謝!

ログ部屋建設計画・・・頓挫中。

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★Inexperienced worker★
音楽好きのお友達アッキーのブログ。

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