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熱いのが普通

「熱いモノは熱く、冷たいものは冷たく」
食事を美味しくいただくための大原則です。

病院で出される食事もこの原則に則り
保温の効いた配膳車にのって出てきます。
だから食事は確かに”温かい”。

しかし、”温かい”けれど
”熱い”わけではありません。

それに気づかせてくれたのは、患者Hさんでした。

入院中、Hさんは食事前に必ず看護師を呼んで
「悪いんだけど、熱くしてくれる?」と言いました。

配膳車から出てきた食事は、かなり温かいので
初めてHさんにそう言われた時
私の頭には「何故だろう?」と疑問が湧きました。
病院の食事は、結構温かくて、他の患者さんからは
美味しいと好評だったからです。

『結構、温かいですよ?』
そう返すと、Hさんは言いました。

「温かいのが食べたいんじゃないよ。
ホクホクするような、熱いのが食べたいんだよ。
温かいおかゆなんて気持ち悪いでしょ?
家と同じように味わいたいから、熱くしてよ」

・・・考えること数秒。
確かに。
”温かい”と”熱い”は違う。
その時、初めてHさんが求めているモノに気づきました。

Hさんの奥さんは専業主婦でした。
食事の時間になると、出来立てホヤホヤの食事が並び
Hさんは毎日、それを食べていた人でした。

出来立てホヤホヤの食事ってどんな感じでしょう?
ご飯はジャーからよそったばかりでアツアツ。
お味噌汁も沸かしたてでアツアツ。
お魚は焼きたてでハフハフ。
そうです。それがおいしさの基本中の基本でした。

病院という場所にいると
いつの間にか、当たり前の日常が切り離されて
わかっているはずのことが、わからなくなってしまう。

「病気して、ただでさえ食欲が落ちてる時に
温かいおかゆなんて最悪だよ?食べる気失せるって。
普通の御飯なら多少、冷めてても許せるけどさ、
食欲が落ちてるんならなおさら、アッツアツのおかゆとか
美味しいモノを出して欲しいってもんだよな。」

確かに。

配膳車の工夫や栄養科の工夫などによって
病院食は昔に比べて
すこぶる美味しくなったけれど・・・。

tns1.gif

美味しさって
そういう視点もとても大切。
もちろん個人差はあるけれど、目から鱗の瞬間でした。

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初心に帰る

初心忘るるべからず。
そう教えてくれる大切な宝物たち。


〈患者さんが作った木彫りの小槌〉

kozuchi.gif

これは外科で働いていた時に
退院するから、お世話になったからといって
患者さんがくれたお餞別の品。
「あんたにも幸運を」
笑顔いっぱいに言ってくれた患者さんの思い出。
もらってしまったら患者さんの幸運を
横取りしてしまうような気がして
とても気が引けたのを覚えています。


〈クリスマスにもらったタオルハンカチ〉

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これも外科で働いていた時に
入院していたがん患者さんがコッソリくれたもの。
「俺はいつ頃、家に帰れるのかな?」
会えばいつもそう言っていた患者さんに
何も言うことができなかった思い出。
もう家に帰ることはできない病状だと
知っていたから、はぐらかすような話と
バカな笑い話しかできませんでした。


〈携帯電話に残こる亡くなってしまった患者さんからのメール〉

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メールに残る文面は、確かに貴方がうったものなのに
それをうった貴方がもう、この世にいないことが
なんだか不思議でたまりません。
もっといろんなことを話せばよかった。
もっとたくさんできることがあった。
メールを見るたびに思い出します。


〈どうか形見にといただいた小さな小箱〉

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「もうすぐお別れだから」といって差し出されたモノ。
そんな悲しいことを言わないでください。
そんなモノは受け取れません。
そんなの嫌だ。
そう言って、患者さんと手を取り合って
大泣きした思い出。
その数日後に患者さんは天国に旅立ちました。
小箱はなかなか開けることができません。


手元に残る患者さんが生きた証。
それを見るたびに、思うことがあります。

「もしあの時が今だったら、もう少しマシな関わりができたかも」

それと同時に思うことがあります。

「あの出会いがあるからこそ、今の私がある」

これらを見るたび、初心に帰ります。
看護師として少しずつ成長できたのは
出会ってきた患者さんたちのおかげ。

仕事に慣れてきたときに
惰性に流されたときに
ふと初心を思い出させてくれるもの。

大切な大切な宝物です。

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スタートライン

NTT○日本のCMを見ていると
ジェムおじさんを思い出します。

ジェムおじさんというのは通称で
私が外科勤務だった時に受け持った、膵臓がんの患者さんです。

なぜジェムおじさんか?
ジェム○ールという抗がん剤を使って
治療をしていた人だったからです。

jempt.gif

ジェムおじさんは、手術適応のない患者さんでした。
つまり、手術では悪性腫瘍(がん)を切除できないということ。
発見された時には、かなり進行した状態で、
余命6ヶ月という宣告まで受けていました。

望みをかけて、ジェム○ール投与を開始したものの
副作用(易感染、出血傾向)は出るけど、腫瘍縮小効果はない!
ジェムおじさんの体力が、どんどん落ちていく中で
医師側は、治療の中止を検討していました。

でもジェム○ールは
目に見えるような腫瘍縮小効果がなかったとしても
悪性腫瘍によるカヘキシー(悪液質)を防ぐ効果が
あるんじゃないかということも言われていて
医療者側も患者さんも、治療に迷っていました。

その時に、ジェムおじさんが言っていたこと。

「生きようと思ったって、生きられるもんじゃないよ。
でも、生きようと思わなきゃ、前には進めないよ!」

ジェムおじさんの意志で、副作用に対処しつつ治療は続きました。
抗がん剤の点滴にいくと、いつも笑顔で迎えてくれてたっけ・・・。
あの光景を、今もすごくよく覚えています。

それ以降、いろんな時に、ジェムおじさんを思い出します。

例えば、大学院受験の時。
落ちたらカッコ悪いって思うから、受けるのを躊躇していました。
受けなければ、落ちませんから、自分は傷つきません・・・でも。

「受かろうと思って、受かるわけじゃないよ。
でも、受かろうと思わなきゃ、どこにも受からないよ」

そう。スタートラインに立つ大切さ。
ようするに、受けなきゃ、合格も不合格もないってことなわけです。

ジェムおじさんは、そういう大切なことを
教えてくれたんだな・・・と思います。

以来、自分が躊躇したり、立ち止まりそうになったりする時
心の中にジェムおじさんがやってきます。
NTT○日本のCMをはじめて見たときは、
思わず「ジェムおじさん!?」って思ってしまいました(笑)

”イチローみたいになりたい”という息子に対して
お父さんがいう、この言葉。
『なろうと思って、なれるもんじゃないよ。
でもな、なりたいと思わなきゃ、何にもなれないよ』

生活も仕事も、生きていくことも、すべて同じ。

やろうと思って、できるわけじゃないよ。
でも、やろうと思わなきゃ、何にもできないよ。

努力したからって、報われるわけじゃないよ。
でも、努力しなくちゃ、はじまらないよ・・・と。

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天国のジェムおじさんに、感謝の意を伝えたいです。



>以下は拍手への返信です。
(今までの方も直接ブログ拍手へ返信しているのですが
もしかしたらこういう形で返信した方が見やすいのでしょうか?)

read more→
離床センサー

患者さんの転倒や転落を予防するために
活用される通称”洗濯ばさみ”。
患者さんの寝衣などにつけておいて
外れると、ナースコールが鳴る仕組みになっています。
つまり、洗濯ばさみ型の離床センサーです。

jiji1.gif

失見当識があり、自分の居場所が正確に認識できない患者さん
せん妄などによって、安全に対する認識が不足している患者さん
筋力低下があり危険なのに、自分で動いて転びそうな患者さん
他にもいろいろ、とにかく転倒転落防止のための防護策です。

種類はいっぱいあります。
ベッドから起き上がったことを感知するベッドマット。
頭が枕から離れたことを感知するピローコール。
ベッドから下りたことを感知するサイドコールやフロアマット。
ベッド柵につかまったことを感知するタッチコール。
車椅子などから立ち上がったことを感知するクッションコール。
動いたら直ちに教えてくれる赤外線コール。
・・・う~ん、思い出せるだけでも、結構ありますね。
(上記が正式名称なのかはわかりません。通称ですかね?)

こういうものがあると、ついつい頼ってしまいたくなります。
センサーが鳴っていないから、患者さんはベッドにいますよね?
いえいえ。患者さんの動きは、結構侮れません!

jiji4.gif

外科に入院していたWさんは、御年96歳。
お耳も遠く、看護師の説明もご理解いただけたのかどうか
あやしい感じがいっぱいでした。
「お1人ではベッドから離れないでくださいね。
転ぶといけませんので、どうぞ看護師を呼んでください」
説明しても、目を離すとベッドから離れようとしています。
「コレは危ない!」
誰もが、Wさんの転倒転落を考え、ご本人とご家族に説明し
離床センサーをつけさせていただくことになりました。

その後、センサーは反応せず、看護師たちも一安心。
しかし!私は見てしまいました!Wさんの技を!

Wさんは、看護師がきた時、必ず”洗濯ばさみ”をしています。
看護師のラウンドが終わると、Wさんは行動に出ました。

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”洗濯ばさみ”を外して、枕につける。
(洗濯ばさみをひらいた状態にしておけば、センサーは感知しません)
そしてお1人で、悠々とおトイレへ。
そして戻ってくると、枕につけてあった”洗濯ばさみ”を自分の肩へ。

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そして次に看護師にきた時には、何気ない顔。
もちろん、受け持ちの看護師さんは気づきません。
あっぱれ!Wさん!ビバ!Wさん!

こういう場合、果たして離床センサーは
役に立っているといえるのでしょうか・・・?

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看護師は患者さんの安全を考えて
そしてもちろん、患者さんの安全の認識度なども考慮して
離床センサーをつけるのですが・・・
「事故が起きてはいけない!」というリスクを考えるあまり
本当の患者さんの理解度を低く見積もってしまいがちなのかも。
そして安全を考えるあまり、患者さんの自尊心を
尊重できずにいることもあるのかもしれません。

Wさんの一件を見ていたら
なんだか申し訳ないやら、いたたまれないやら。
それでも、離床センサーを外すという選択が
すんなりとみんなで了解できないこの現実。
なかなか難しい判断なのです。


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みなさんの病棟では、いかがですか?
また、どうお考えになりますか?

・・・そして一言。パソコンがノロノロでじれったいよ~(泣)

魂の還るところ

花火大会の季節です。百花繚乱ですね。

でも、打ち上げ花火が上がっていく軌跡をみていると
どうも魂が天に還っていくような錯覚にとらわれます。
ああ、そうか、あの患者さんを思い出すからだ・・・。

tamashii.gif

救命救急の1年生だった頃、真夏の時期に
1人の患者さんが交通事故で運ばれてきました。
その方はまだ若くて、とても死んでしまうような運命が
定められているようにはみえませんでした。

免許をとって、買ったばかりのバイクでの事故。
外見的にはあまり怪我をしている様子はなく
・・・しかし呼びかけても意識がなく、グッタリしていました。
心臓は動いていたけれど、呼吸は止まってしまいそうでした。

医師をはじめ、救命のみんなが懸命の処置をしました。
何とか助けたいと思って、懸命の処置をしました。

でも現実は残酷でした。

頭部強打の結果、頭の中は出血し、その出血のせいで
脳の機能は障害を受け、生きるために必要な脳幹という
部分を押しつぶそうとしていました。
医師からの言葉は「今日、明日が山だと思います」でした。

知らせを聞いて、病院に駆けつけた家族は泣いていました。
医師からの説明を聞いて家族は『そうですか、わかりました』と答え
しばらくベッドサイドにいた後、家族控え室に戻っていきました。

『わかりました』・・・この時、家族には一体何がわかったのでしょうか・・・

次の面会の時、家族は看護師にすごい勢いで迫ってきました。
『何とかしてください。助けてください。どうして助けられないんですか!』
あまりの剣幕に、私達はビックリ!

・・・この剣幕・・・昨日の家族の様子とはまったく異なっていました・・
・・・『わかりました』・・・何が?・・・わかるはずなんてない・・・受け入れられない・・・
・・・この現実を受けとめることなんて、できない・・・

まさに危機状態。
何故ウチの子が!?何故助けられないの!?医療者は何をやっているの!?
様々なものに対するものすごい怒り。
行き場のない怒りは、時として医療者に向いてきます。
すごい剣幕で怒鳴られること、罵倒されること、泣かれること
何度経験しても、慣れることはありません。

それでも家族がそうせざるを得ない気持ちを少なからず理解しています。
だから、家族の訴えを聴いて、受け止めるべく接しました。

家族が落ち着いてきたところで、医師からゆっくりと現状の説明をしてもらいました。
すると再び家族は言いました。
『・・・そうですか、わかりました』

『わかりました』・・・家族には一体何がわかったのでしょうか・・・

次の面会の時、家族が患者に話しかけていました。
『早く治ってまたディ○ニーランドに行こうね!』
『チケット取っておいたけど、それまでに治るかしら?』
『ね?看護師さん、その頃までに退院できるかしら?』
そういって患者さんに笑いかける家族に対して、私達はどうすればいいのか。

・・・そうですねと答えるのか・・・それは・・・と言葉に詰まるのか・・・
・・・そうなるように私達も頑張りますと答えるのか・・・
・・・そうであるように、私達も願う限りですと伝えるのか・・・

家族はどんな気持ちで患者に、私達に話しかけているのか・・・
シビアな状態がわかっているけれど、あえてそういう風に語りかけるのか・・・
シビアな状態が理解しきれないから、そういう風に語りかけるのか・・・
希望的観測なのか、絶望の淵からのせめてもの慰めなのか・・・

受け入れられない・・・受け入れられませんよ、家族は。
朝、いつもと同じように外出した人が
夜、同じように帰ってくるものだと信じている人が
今、ここで死に逝こうとしているなんて・・・

辛い・・・苦しい・・・悲しい・・・痛い・・・
何も言えない・・・何もできない・・・
どうしてこんなに残酷な状況が起こりうるのか・・・

そばにいればいいのか・・・ここから離れるべきなのか・・・
説明すればいいのか・・・傾聴すればいいのか・・・

どうして世の中にはこんなに理不尽で
辛い出来事が起きるのかと考えたことや
あの数日後に救命救急センターの仲間で花火大会にいって
「なんか魂が昇っていくみたいだね・・・」といった仲間の言葉を
隅田川の花火大会の中継テレビを見ていて思い出してしまいました。

hakaba.jpg

魂はどこに還っていくんでしょう?

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ご訪問いただき有り難うございます。当ブログはナースyoyocoの日常を綴った”勝手に看護覚え書”です。ほぼ自己満足で出来上がっており、医療に役立つ内容にはなっておりません。日々働く中で考えたこと、感じたこと、そして周りの楽しい仲間達について、私的視点から描いています。興味のある方はどうぞご覧ください。

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