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重症集中系の悩み

「患者さんを看る」
看護師にとって、ごく当たり前のことです。
ちょっと待ってください。本当に当たり前・・・ですか?

★  ★  ★

「救命の時って患者さんをどうやって看てた?」

ICU勤務1年目のHさんからの突然の質問です。
Hさんはもともと外科病棟で私と働いていたナースさん。
だから経験年数は私と一緒の中堅ナースさんです。

「最近さ、私、患者さん看てるんだよね?って疑問に思うことがある。
私は患者を第一に考えて、患者を看ているはずなんだよ。でもね
目の前に患者さんがいるのに、患者ではなくモニターを見るようになる。
患者さんの傍にいってもポンプやルートに先に目がいくようになる。
患者さんの脈をとらずに、心電図モニターの値を信じるようになる。
患者さんに処置の時、声はかけても、本当に話しかけようとしなくなる。
挙句の果てに、このベッドサイド状況が”当たり前”の光景になる。
患者を看るということが、なんだかおかしなことになっていく」

darkicu.gif

Hさんはさらに言いました。

「吸引する時の心電図変化が心配だからといってモニターを凝視する。
患者さんの表情を見ているようで、吸引する部位とモニターばかり見てる。
患者にモニターが向いていて、見えるようになっていても気にならない人がいる。
患者さんは自分のモニタリングを見てどんな気持ちになると思う?
アラームが鳴った時、それを消すのはいいけれど、患者さんに
何も説明せずに立ち去る人がいる。患者さんは心配になるよね?」

「2時間毎に当たり前のように患者さん達を体位変換していく人がいる。
もう転がしてるって感じなんだよね。もちろん技術は正確だけど。
看護師はみんなマスクをしていて表情がよくわからない。
淡々と動いている看護師をアンドロイドみたいに感じる時がある。
もちろんICUは重症患者が多い。だから仕方がない状況もたくさんある。
ICUで求められる看護は敏速さと正確さが優位なのかもしれない。
でも患者さんに接している、患者さんを看ているという感覚が狂ったら
いくら高度な専門的知識をもって患者に接しても看護じゃないと思う」

robo.gif

「・・・私にはICU看護は、向いていないかもしれない」

★  ★  ★

ああ・・・なんか分かるなぁ・・・その気持ち。
機械に目がいってしまう気持ち。
ついついモニタリングに頼ってしまう気持ち。
こちらが「ケアしやすいように」を優先する気持ち。
機械が並ぶベッドサイドの光景が当たり前になっていく気持ち。

その疑問にはじめから気づけるHさんは、私から言わせれば素晴しい。
だって私は3年目くらいになるまで、そんなことを考えもしなった。
必死だったせいもあるけれど、自分の手の中で自分の思うように
仕事が進んでいくことが楽しくて、それが素晴しいと思ってた。
患者さんのことを考えているようで、実は自分の効率性しか考えていなかった。
そのことに気づき始めたのは3年目を過ぎてからだったから・・・。

その気持ちはよく分かる・・・。分かる・・・。

『うん。私も一時期、患者さんをみているつもりで機器にばかり目がいってた。
呼吸器のついている患者さんを4人とか受け持った日には
とにかく忙しくて、それでもなんとか、まわさなくちゃいけなくて
バイタルサインをとって、記録して、吸引して、清拭して
体位変換するだけの人になっていた時期があると思うんだ。
とにかく、こなさなくちゃいけないってすごく大変だったし余裕もなかった。
当然のことながら、配慮だって足りなかったと思う』

分かるんだけど・・・でも・・・でも・・・。

『でもさ、Hさん。ICUの全ての看護師さんがそうなのかな?
その人たち、故意にやっているのかな?
自分がそういうふうにやってしまっているということや
外から見たらっていう見え方に気づいてないんじゃないかな?
Hさんは、他の臨床経験が長いから、そういう視点に気づけるけれど
ICUの中で育った人やICUに長くいる人は分からないかもしれない。
それにね、そこのICUの人たちは全然頑張ってないのかな?
そこの患者さんはみんな不幸なのかな?そんなことないんじゃないかな?』

そんなに簡単にICUを見限らないで欲しい・・・。
そんなに簡単にICUを否定しないで欲しい・・・。
元・救命救急&ICU系の私としては、それではあまりに悲しい。

『外科での看護が全てじゃないし、ICUにはICU特有の看護があるよ。
確かに、一歩間違うと、そういう傾向で患者さんを看るようになってしまう
危険性はあると思うけれど、じゃあ、そうなってしまう原因があると思う。
Hさんは広い視点で、そういう問題意識が持てるんだから
外科ナースの経験を生かした、素晴しいICU看護を確立してほしいな』

Hさんは最後まで、私の言葉を聞いてくれました。大人ですな!

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私が救命にいた時は
「救急のナースなんてミニドクターばっかりでちっとも看護してない」
なんて言われておりました。確かにその傾向がある人もいると思います。
でも、全ての人がそうじゃないと思います。
看護師はみんな、日々の猛烈な忙しさの中で
いろいろなジレンマや葛藤を感じながら働いています。

患者さんの訴えをゆっくり聞いて、一緒に話し合える状況があるとは限りません。
命の淵で、1分1秒の判断が命を分ける危機に直面している人がいます。
そんな中で・・・
最小限の負担でケアを行う姿が時として機械的にみえることもあります。
すごく真剣に神経を尖らせて観察をしながらケアを行っている姿は
周囲からみると能面のように見えて、感情がないように見えるのかもしれません。
張り詰めて働いている姿は、ツンツンしているという印象を与えかねません。
でもそうせざるをえない状況があります。
背景にある状況を切り取らずに、その行為者と行為の対象者(物)だけをみて
判断されてしまうのは、あまりに悲しいことだと思うのです。

それでも、その判断は、みた人にゆだねられるわけです。
特に外の人(他の患者さんや家族さん等)にそれで不安を与えるわけにはいきません。
救急やICU看護は本質は一般病棟看護となんらかわらないと思います。
でも、一般病棟とまったく同じかといわれたら、やはりちょっと違う。
患者さんの特性や治療だって違うのですから。
だからこそ、新人はリアリティーショックを受けたり
働いている人はバーンアウトする率が高かったりするのかもしれません。
そんな中で、一生懸命、患者を看ているのです。

Hさんの話を聞いていたら、また救急で働きたいなぁ・・・
今、働いたら、どんな看護ができるかなぁ・・・と考えてしまいました。
案外、こなすことに必死で、全然なにもできなかったりするのではないかと
思ったりしながら、ICU勤務をこなすHさんをちょっと羨ましいと思うのでした。

Hさんには是非頑張って欲しいと思う次第です。
貴方はすごくデキル人なのだから!

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健康診断か外来診察を受ける以外、病院には縁遠いSHIOですが、数年前1回だけ、病院に救急車で運び込まれた経験があります。
疲労もあったんだと思いますが、アレルギーの発作で呼吸困難となり、意識朦朧の状態で救急車に乗りました。(初めての経験で、自分がアレルギーを持ってる事すら知りませんでした。)
病院の受入れは、どんなシークェンスで行われるか知らないので良く解りませんが、夜中に運ばれて朝 目が覚めると「集中治療室?」にいました。
なんかランプの光と機械の音が印象的な場所で、最初の処置後、落ち着いてから運ばれました。
その時は気配を感じなかったのに、目が覚めたら、数人の人が廻りに寝ていて驚いた記憶があります。(ちょっと独特な雰囲気で、お願いして午前中で退院しました。)
その時対応して頂いた看護師さんは、外来の看護師さんとはちょっと印象が違っていて、「システマティックに動く、スペシャリスト」な感じでしたけど、「ちょっと混乱気味」のSHIOは、妙に安心感を持った記憶があります。
一晩の入院だったので良く解りませんが、対応自体は「優しく、迅速丁寧」だったので、お医者さんにも看護師さんにも、ただただ「感謝、感謝」でしたね・・・。
152
ヨヨコさんって、元救急だったんですね。看護師というだけでも、「生死に関わる仕事」ですから、すごいことなのに、救急って、もっともっとハードなんでしょうね。想像でしかないけれど…。

実は今さっき、一度私の救急病院での辛い思い出をつらつらと書いて送信しようとしたら、うっかり消してしまったんです。きっと書かない方がいいってことなんだな、と思ってやめました。
でも、それを書いているうちに、Y先生のレポートは私のグリーフ体験とグリーフワークにしよう、と思い立ちました。なので、きっかけをいただき、勝手に感謝♪すみません、自己完結で♪
153
ICUや救急でお世話になることがとても多かった私。しかも自分も以前はICUで働いていました。正直知識の幅や仕事のし易さで言えば産科よりもICUでした。ケアといわれるものが自分主体で動いていくから物凄く慣れていくと楽ですから。でも自分が入室した時は・・正直覚えていません。実際に敗血症性ショックの状態で意識もないしいつ死んでもおかしくなかったから声を掛けてもらうとか全く論外な感じでしょうね。それでも私の意識に一つ残っているのは麻酔科の主治医が呼吸状態が悪くなった私にSpo2が下がる事を承知で鎮静を解いてcpapマスクの装着や挿管の説明をしてくれて同意を取ってくれた事です。私は少なくとも人間として診て貰っていたと思えました。受け持ちナースの顔は全く覚えていませんがきっときちんと診て貰っていたと思います。それから麻酔科の主治医は私の事覚えていないよね・・と次のオペの時に側で言いました。でも不思議な事ですが私はその先生の名前を覚えていました。フルネームで・・だからどういう状況でもきちんと伝わっていると私は思いました。それが意識化されているかどうか別にして。
154
> limitationさん

管理人限定なのでこのお名前↑。すみません。
有り難うございます。現役の、現場の第一線でお仕事されている方に共感していただけて、本当に嬉しいです。ICU、頑張ってますよね!モニターだけに頼ってはいけないけれど、モニターが教えてくれる情報だってとっても大切ですよね。そうすることでしか、見ることのできない患者さんの反応だってあるのですから。ICUの看護師さんの中には、モニタリングされているバイタルサインのすごく微細な変化から、患者さんの苦痛や負担を読み取ることができる人がいます。機械を通して、患者さんと会話しているんですね。そうやって患者さんの命を守ってくれているのだと思います。
155
> SHIOさん

ICU体験者ですか!?ICU独特でしたか?!そうですよね~。そうだと思いますよ。
システマティックに動くことって、どちらかというとマイナスな印象なのかと思いましたが、患者さんによっては、システマティックに動くほうが、安心感が感じられる場合があるのですね。確かに、ICUであまりにも感情豊かに看護されても、気持ち悪いといえば気持ち悪いかもしれません。システマティックな感じの変わらない規則正しさというのは、どこか冷たい印象を与えますが、逆に考えたら絶対の安心感かもしれませんね。なるほど、なるほど。素敵なコメントを有り難うございます。
156
> おやまどすさん

そうなんですよ。元救急なんです。しかもドラマに憧れて救急を志したというミーハー根性でして・・・。いやはやお恥ずかしい(恥)
おやまどすさんも救急病院体験者ですか!?意外と大変な思いをされている方が多いので、内心ビックリしております。
もうレポートのテーマが決まったんですね・・・早い。すばらしい!ワタクシはまだ模索中であります。

157
> ぱのさん

ぱのさんもICU看護師さんだったのですね。しかも患者体験もあり。どちらの立場も理解できるというのは、本当に尊いことだと思います。
そう・・・ICUでの記憶って消えてしまう(もしくはクリアーに覚えていない)患者さんが多いんですよね。私もよく患者さんから「ここに入院していたってことは覚えていないけれど、すごくお世話になったって家族に言われて・・・」といわれました。でもそういう形であっても、退院の時に来てくれることが嬉しいんですけれども。
そしてやはり声をかけることは大切なんですね。聴覚は最後まで残ると言われますが、「どういう状況でも伝わっている」って本当にそうだなと思いました。たとえそれが患者さんの記憶から忘れ去られてしまったとしても、きっとその瞬間は意味があることなんだなと思いました。
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