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魂の還るところ

花火大会の季節です。百花繚乱ですね。

でも、打ち上げ花火が上がっていく軌跡をみていると
どうも魂が天に還っていくような錯覚にとらわれます。
ああ、そうか、あの患者さんを思い出すからだ・・・。

tamashii.gif

救命救急の1年生だった頃、真夏の時期に
1人の患者さんが交通事故で運ばれてきました。
その方はまだ若くて、とても死んでしまうような運命が
定められているようにはみえませんでした。

免許をとって、買ったばかりのバイクでの事故。
外見的にはあまり怪我をしている様子はなく
・・・しかし呼びかけても意識がなく、グッタリしていました。
心臓は動いていたけれど、呼吸は止まってしまいそうでした。

医師をはじめ、救命のみんなが懸命の処置をしました。
何とか助けたいと思って、懸命の処置をしました。

でも現実は残酷でした。

頭部強打の結果、頭の中は出血し、その出血のせいで
脳の機能は障害を受け、生きるために必要な脳幹という
部分を押しつぶそうとしていました。
医師からの言葉は「今日、明日が山だと思います」でした。

知らせを聞いて、病院に駆けつけた家族は泣いていました。
医師からの説明を聞いて家族は『そうですか、わかりました』と答え
しばらくベッドサイドにいた後、家族控え室に戻っていきました。

『わかりました』・・・この時、家族には一体何がわかったのでしょうか・・・

次の面会の時、家族は看護師にすごい勢いで迫ってきました。
『何とかしてください。助けてください。どうして助けられないんですか!』
あまりの剣幕に、私達はビックリ!

・・・この剣幕・・・昨日の家族の様子とはまったく異なっていました・・
・・・『わかりました』・・・何が?・・・わかるはずなんてない・・・受け入れられない・・・
・・・この現実を受けとめることなんて、できない・・・

まさに危機状態。
何故ウチの子が!?何故助けられないの!?医療者は何をやっているの!?
様々なものに対するものすごい怒り。
行き場のない怒りは、時として医療者に向いてきます。
すごい剣幕で怒鳴られること、罵倒されること、泣かれること
何度経験しても、慣れることはありません。

それでも家族がそうせざるを得ない気持ちを少なからず理解しています。
だから、家族の訴えを聴いて、受け止めるべく接しました。

家族が落ち着いてきたところで、医師からゆっくりと現状の説明をしてもらいました。
すると再び家族は言いました。
『・・・そうですか、わかりました』

『わかりました』・・・家族には一体何がわかったのでしょうか・・・

次の面会の時、家族が患者に話しかけていました。
『早く治ってまたディ○ニーランドに行こうね!』
『チケット取っておいたけど、それまでに治るかしら?』
『ね?看護師さん、その頃までに退院できるかしら?』
そういって患者さんに笑いかける家族に対して、私達はどうすればいいのか。

・・・そうですねと答えるのか・・・それは・・・と言葉に詰まるのか・・・
・・・そうなるように私達も頑張りますと答えるのか・・・
・・・そうであるように、私達も願う限りですと伝えるのか・・・

家族はどんな気持ちで患者に、私達に話しかけているのか・・・
シビアな状態がわかっているけれど、あえてそういう風に語りかけるのか・・・
シビアな状態が理解しきれないから、そういう風に語りかけるのか・・・
希望的観測なのか、絶望の淵からのせめてもの慰めなのか・・・

受け入れられない・・・受け入れられませんよ、家族は。
朝、いつもと同じように外出した人が
夜、同じように帰ってくるものだと信じている人が
今、ここで死に逝こうとしているなんて・・・

辛い・・・苦しい・・・悲しい・・・痛い・・・
何も言えない・・・何もできない・・・
どうしてこんなに残酷な状況が起こりうるのか・・・

そばにいればいいのか・・・ここから離れるべきなのか・・・
説明すればいいのか・・・傾聴すればいいのか・・・

どうして世の中にはこんなに理不尽で
辛い出来事が起きるのかと考えたことや
あの数日後に救命救急センターの仲間で花火大会にいって
「なんか魂が昇っていくみたいだね・・・」といった仲間の言葉を
隅田川の花火大会の中継テレビを見ていて思い出してしまいました。

hakaba.jpg

魂はどこに還っていくんでしょう?

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Comment
246
魂の存在をどう考えるのかはその人の生き方だと思いますが私は信じています。目に見えないものであってもきっと私たちを見ていてくれていると思います。愛する人に対する気持ちは理屈じゃないから。母が私が死ぬと言われた時に「この子は絶対に死なない」と強く念じたそうです。どう考えても致死率は80%をくだらないのに・・。死ぬかもしれないと言う現実と今生きている命との間で揺れるのかもしれません。辛すぎる現実をぱっと受け入れられるほど人は強くないから。母もやっぱりICUで医者に対して随分怒っていたようです。救いは頼れる医者がいたこと。母も救われたようです。魂になった時に私は愛する人にお別れをしてそして魂の世界に帰っていきたいと思います。
251
> ぱのさん

辛い現実はそんなに簡単には受け入れられませんよね。よくフィンクの危機理論を用いて説明されたりしますが、あくまであれは理論であって、現実がそれに即していくわけではないですし、理論は現実の状況を理解するための1つの手段みたいなものですもんね。ぱのさんのお母様もとてつもない思いをされたのだと思います。ぱのさん、元気になってよかったですねVv
魂はどこに還るのか・・・愛する人の側へ・・・素敵な死生観・・・。私もそう願いたいです。
255
ヨヨコさん、やはりすごい現場を
生き抜いてきたんですね。

家族が目の前で消えようとしていて、
医者の説明を聞いたところで、
納得なんてできませんよ、ホント。

どんな奇跡でも信じたいってのが
家族ってもんです。

だから、「わかりました」とおっしゃっても、
「何とかしてください」と言われても、
その気持をただ受け止めるしかないと思います。
それでいいんだと思います♪
262
> おやまどすさん

本当に、今考えると、すごい職場で働かせていただいていたんだな・・・と思います。自分の目の前で、いったい何人の人が亡くなっていったんだろう・・・。その時は必死で、あまり深く、立ち止まって考えることはなかったですし、考えることも避けていたのかもしれないのですが、その職場をやめて、立ち止まって考えてみたら、なんだかとてつもない経験だったんだな・・・と思ってしまいました。
何かできたこともあったかも知れませんし、何もできなかったことのほうが多かったのかもしれません。でも「何かできないか、何かしよう」と思って、日々、患者さんや家族に接していたことだけは、確かなことだと思うんです。
「それでいいんだと思います♪」と言っていただけて・・・とてもホッとしました。有り難うございます。
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