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余命3ヶ月の教え

ターミナル期を在宅で過ごされ、亡くなられたWさんのこと。

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外科病棟で仲良くなったWさんという患者さんがいました。
Wさんはもともと前立腺がんの骨転移で治療をしていた方でした。
私は外科病棟をやめてから、Wさんにはしばらく会っていませんでしたが
連絡が来て、Wさんのご自宅にお伺いする機会を得ました。

Wさんのお宅にお邪魔した日。
Wさんがあまりにも痩せ細ってしまっていたことにビックリしました。
2ヶ月くらい前から、急に痛みが強くなり、腫瘍マーカーも上昇したそうです。
私はどこかでWさんはずっと元気だと勝手に思っていました。

Wさんはいろいろなことをお話してくれました。

主治医から余命は3ヶ月だと宣言されたこと。
今後は痛みのコントロールのための治療しかしないということ。
最後は在宅で死にたいと思っていること。
在宅で死にたいけれど、日本ではそれがまだ難しいこと。
ましてや一人暮らしのWさんにはさらにそれが困難であること。

財産分与のためには、たくさんの専門的知識や書類がいること。
死んだら銀行口座からお金が引き出せなくなること。
だから死ぬ前に貸金庫にそれを移動しておくこと。

お墓の準備や死んだらどうするかということも
死を前にした状態で考えなくてはいけないこと。

ケアマネさんが入って様々なケアプランを提案してくれても
結局、今後の自分の生活は自分で考えなくてはいけないこと。
それを痛みのある自由が利かない身体でやっていかなけれがならないこと。

大まかなことはヘルパーさんが手伝ってくれても
ヘルパーさんによってやり方が異なることに戸惑ってしまうこと。
ちょっとしたことができないことに気づいてもらえないこと。
(大きな動作はできても、ちょっと床にモノを落とした場合など
自分で拾うことができないのです。腰椎転移があるので)
痩せ細った身体には、ご飯茶碗の重みが辛いこと。
いくら出来上がった食べ物をデリバリーされても
それを温めたりすることがとても大変なこと。
一人での食事がいかに食欲を落とすかということ。

いくら住み慣れていても、お部屋で転んでしまうのが恐いこと。
仲間はたくさんお見舞いにきてくれるけれど
「今!」と思うときや一番いて欲しい時間にいてくれないこと。
だんだん痛みが強くなること。
だんだん身体が動かなくなること。
夜・・・夜中に息が、心臓が止まってしまうのではと思うこと。

命に限りがあると宣告されて迎える夜というのは
いったいどんなものなのでしょう?
明日が保障されない夜というのは、いったいどんなものなのでしょう?

こういうときに本当に欲しいものは、お金でもモノでもないこと。
人の優しさや心遣いがいかに大きな力になるかということ。

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がんによる死亡者の増加や高齢者死亡の増加などによって
終末期医療の重要性が叫ばれ、注目され、さまざまな取り組みがなされています。
しかし、ターミナルケアは現在、よい方向に向かっているのでしょうか?
ターミナルケアはいくら理論や方法論が進化しても何故か寂しいばかりです。
スピリチュアルケア、ホスピスケア、ホリスティックケア・・・とても大切だと思います。

でも・・・私達は何か、本質的なことを見逃してしまってはいないでしょうか。
本当の核になる部分を見つめずに、来てしまっているのではないでしょうか。
日本人である私達は自分の人生の最後をどんなふうに迎えたいのでしょうか。

外国の輸入品ではなく、私達が目指すターミナルケアはいったい何処なのでしょうか。
Wさんの話を聞いていると、そんな疑問を抱かずにはいらせませんでした。
Wさんのご冥福を心からお祈りいたします。
そしてたくさんの想い出と問題提起に心からの感謝を。

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Comment
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もう自分は死ぬんじゃないかと感じた事が何度もあるので他人事じゃないなと思います。私の場合は敗血症か尿毒症のどちらかで死ぬ確率が高かったので意識がなくなったらどうしようかと言う事といつ死ぬのか分からない(当たり前)のできちんと家族に意思表示をしないといけないと考えていました。敗血症の時は発症が急激で意識もすぐになくなったので分かりませんが尿毒症の時には家族に「ここに生まれて良かった」と言う事と「一生懸命生きた」と言う事を伝えるようにしました。明日目が覚めなかったら?と考えると家にいても大学にいてもものすごく孤独だったりしました。死ぬ事を受け入れたようでもそれほど死ぬ事は心を揺らす事でした。人間は一人では生きられないですよね。だからこそ最後まで人間らしくその人らしくということは難しいのでしょうね。自分のことばかりで申し訳ないです。でもそのぎりぎりの気持ちは何となく理解できる気がしました。
118
> ぱのさん

いつも深い深いご意見を有り難うございます。Wさんはいっぱいいっぱい語ってくれました。でもきっとそのWさんの本当の気持ちを、私は10分の1、いや100分の1も汲みきれていないんじゃないかと思います。「死ぬこと」「死」・・・たくさん考えたことはあっても、実感したことが一度もないからです。明日目が覚めなかったら・・・と考えることはできても、その本当の意味での恐怖や孤独を感じることは、できないからです。
ぱのさんのように、本当に「死」を実感したことがある方は、きっとWさんと話したら、もっと深い深い共感性が生まれるのだと思います。そうかんがえるとやっぱりピアグループって大事だな・・・と、フと思ってしまいました。
貴重な体験のお話をいろいろ聞かせていただいて、こちらこそ感謝です。ぱのさんのコメントからいろいろ刺激を受けています。
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